神奈川県の指定管理者制度による運営
元職員によって侵入され、施設の利用者男女が刺され、男女19人が死亡、男女26人が負傷するという痛ましい許せない事件が発生した津久井やまゆり園。お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに負傷された方々の一刻も早いご回復をお祈り申し上げます。
事件があった津久井やまゆり園と江の島ヨットハーバーの共通点は、どちらも神奈川県の指定管理者制度によって本来は県がやるべき仕事を指定管理者として県が決定した民間が担って運営しているということです。
担当する保健福祉局 福祉部 障害福祉課が記者発表資料をHPに載せていますが、県の対応については事件発生後しかありません。テレビなどでは津久井やまゆり園は事件発生以前からこの件で対応に苦慮していたことが報道されています。事件が発生する前の担当課と運営している社会福祉法人かながわ共同会との情報共有、連携・協働はどうなっていたのでしょうか。県はどのように対応していたのでしょうか。全く見えていませんし記者発表資料では事件発生以前の県の対応は書かれていません。今後、問題になるのではと思います。
人件費削減や民間活力を導入することによって柔軟で民間の発想を活かした運営を目指して導入が進んできた指定管理者制度ですが課題もあることが指摘されています。
❶本来は行政の仕事であり、責任は行政にあることを忘れがち。
❷情報共有がされにくく協働すべきなのに難しい。
❸経費削減が目的化してしまうと提供するサービスの低下が起こる。
❹指定管理者である民間事業者を管理監督しなくてはならない仕事が行政の仕事として増える。
「今初めて聞いた話なのですぐにはお答えできない」7/24江の島ヨットハーバー
2020東京オリンピック会場に選ばれた湘南港、江の島ヨットハーバーですが、利用者の海上での安全確保のための指導や事故の際の救助業務のチーフとなるハーバーマスターが不在で運営していることが問題となり、7月24日の2020東京オリンピックに向けた湘南港利用者説明・意見交換会においても本来の議題ではないこの問題についての利用者からの声が多数出ました。オリンピックの準備についての意見交換には至らない状況でした。
「ハーバーマスターの事でこれだけ多くの人が意見や質問をしている。湘南港の運営体制を根本から見直し早急に体制を立て直さなければ前(2020東京オリンピックの議論)へ進めない事態であり、ハーバーマスター問題は重大な案件だと御認識されているか?」の質問に対してスポーツ局長の回答は「今初めて聞いた話なのですぐにはお答えできない。関係課に確認して対応する。」とのことでした。
情報が共有されていない
江の島ヨットハーバーのハーバーマスターが不在の状況の情報共有や対応はどのようになっていたのでしょうか。事故が起こらなかったのは幸いです。
コメントがすべて消されていた!! が、ここに復活保存しました。
私のフェイスブックの記事に寄せられたコメントが、情報提供者も私も削除していないのに消されています。フェイスブックでは復活できませんので、以下、保存できた情報を個人名等に配慮してアップします。利用者の声です。
★ハーバーマスターが4月から不在は間違っていません。 だから2日間の会議が大炎上したわけです。
★Aさんは以前の所長です。今回の社長が部長をクビにしたので引退していたのに再度呼び戻されたのです。 彼の人となりはハーバーの人なら皆さんよく知っています。ハーバースター不在で仕方なく社長が仮に役職押し付けただけで、本人も当然理解しています。 総務のB氏は全くの海の素人か、自らの会社の仕事の内容を理解できていない人ですね。或いは社長から言われたままを書いたのかもしれませ。 だけども、文章で回答もらったことは重要です。なぎさパークの理解度が公になったわけですから。
★海岸砂防課の元は県土整備局が担当部署だけど、ある人に聞いたら知事局に直接言うのが手っ取り早いそうです。 新クラブハウスの耐震計画見直し要求を提出した時も、県土整備局では全く相手にされなくて、知事から直接検討白との指示が出て、非難タワーが造られて経緯があります。凸凹の屋根をフラットにして非難スペースを求めたけれども、設計者が拒絶して今の状態になってしまいました。 部外者なんだから、別に下から上げていくことの必要性は無いと思う。
★天下り先として作った会社だから。元々は駐車場の管理専門の会社でしたが、駐車場ができるのが遅れて、仕事が無くて、ハーバー管理に参入した経緯があります。 現社長は実績を上げたくて、体験教室とか外部から見える部分にお金をかける方針にした結果、唯一の目玉の安全を外してしまった。全くの海の素人だからと言えるけれど、発注者の県の管理責任は大きいね。
★4か月間、実質的にハーバーマスターをいない状態でいたわけで、偶然重大事故も起きなかったのですが、利用者のリスクは非常に大きかったわけです。 ハーバーマスターは、海の知識があるベテランセーラーとかが担当する役職で、欧米でもヨットクラブの会長していた人とか(名誉職じゃなく実質的に仕切っていた)、有名選手等の実績あるセーラーがなります。大規模な大会を開催する場合の現場の仕切りを行う立場のひとですから。 ハローワークに募集出す様な職種ではないのですがw
★日曜日は土曜日よりも更にパワーアップされた社長解任要求が続出したようですね。 県のHPで調べたら、指定管理の入札に提出した項目(これが評価されてリビエラリゾートよりも点数が良かった)部分を全部現在カットしています。 この点を、土曜日に質問したら、それはなぎさパークが自ら行うと言っている事で、県から求めた事じゃないっての回答でした! だけど、これらの文章でライバルとの比較審査を受けているのだから、これはコミットメントと考えるべき事で、回答に驚いたけれど、質問したい人が大勢いたので、あえて突っ込みませんでした。 オリンピックの説明会で出席して、それらの質問への回答を用意してきている職員が、指定管理会社の社長解任解任しとなんて質問されても実際は答えようがないわけだしw だけれど、この問題を解決しないと、オリンピックに関しての話し合いなんてできないでしょう。 ハーバーマスターって、県側のオリンピック実施時の窓口なんだから、本当は県のオリンピック関係者も自分達の問題だって考えるべきなんだけど。 職員が太っている理由で首にしたって噂も聞くけれど、これが本当でしたら、なんでも出来るわけで、噂に聞くほどすごい人みたいです。
★http://www.s-n-p.jp/global-data/20160801174535677.pdf 8月1日付けで、なぎさパークのHPにこの様なお知らせがアップされているますが、読んでみて感じたことは、ここのワンマン社長はハーバーマスターという役職について何も知らないってことです。 日本で2回目のオリンピックハーバーになる江の島のハーバー管理をこんな素人で尚且つ間違った考えを持つ人が牛耳っていることを許している神奈川県の姿勢が驚きです。 よくこんな文章を外部に発信したとビックリしていますし、素人は恐ろしいってことです。 現在、スキルが無いから、保安庁、県警、消防と協力してなんて、海難事故対応を意図しているつもりらしいですが、何を勘違いしているのでしょうかw
神奈川県 県土整備局 河川下水道部 砂防海岸課からの回答
7/20に私は県のお問い合わせフォーマットからこの件について質問と要望を送りました。その回答が来ました。
お問い合わせフォームへの回答について8/2
日ごろより、本県の港湾行政に、ご理解とご協力を頂きありがとうございます。
このたび、お問い合わせを頂きました、湘南港の運営状況について、次のとおり回答します。
湘南港の指定管理者である株式会社湘南なぎさパークが、ハーバーマスターの候補者を募集していることは、県においても承知しているところです。同社からは、東京2020オリンピック競技大会・セーリング競技な
どの国際大会の開催に備え、数年後を見据えた運営が求められるなか、湘南港の組織強化を図るため、幅広く知見を有する専門的な人材を採用し、ハーバーマスターとして育成すると聞いています。
また、新たなハーバーマスターが就任するまでの間は、湘南港での経験がある管理部長がハーバーマスターを兼務し、定年を過ぎ、昨年度までハーバーマスターを務めた社員は、顧問として、社員等に対する教育、指導に当たらせると聞いています。
ご指摘のとおり、ハーバーマスターは、ヨットの安全管理業務において重要な役割を果たし、このことは、同社の事業計画にも記載されております。
県としては、ハーバーマスターが変更になったとしても、同社がヨットの安全管理業務を的確に遂行できるよう、ハーバーマスターの機能の確保を求めるとともに、利用者に対し、理解を得るようよう求めているところです。今後とも、ヨットの安全管理業務をはじめ指定管理業務を適正に
遂行するよう同社を指導してまいります。なお、今回の回答についてご不明な点がありましたら、下記まで
ご連絡ください。
県土整備局河川下水道部砂防海岸課 副課長 加治
電話:045-210-6501
平成28年8月2日
神奈川県 県土整備局 河川下水道部 砂防海岸課長 鶴木 拓也
情報共有と協働、すべての責任は行政にある
指定管理者に民間事業者を指定して運営させていても提供するサービスの最終責任は行政にあります。このことを忘れずに仕事をしていただきたいと思います。特に江の島ヨットハーバーは2020年の東京オリンピックのセーリング会場になる重要な港です。県と民間事業者で情報共有と協働をして素晴らしい運営をしていただきオリンピックを迎えなくてはならないと思います。私も利用者の一人として協力したいと思います。
茅ヶ崎市の指定管理者制度の点検も必要
江の島ヨットハーバー問題を利用者の一人として取り上げましたが、茅ヶ崎市でも茅ヶ崎市も指定管理者制度で多くのサービスを市民の皆様に提供しています。市の議員として茅ヶ崎市の指定管理者制度についての再点検、再検証をしなくてはならないと思いました。皆様からのご意見、情報をお寄せ下さい。
<参考>
津久井やまゆり園の指定管理者の選定結果等について
湘南港指定管理者に指定された団体の事業計画書
朝日新聞にこの問題が掲載されました!!(8/11)