29年度予算は今後の茅ヶ崎市財政のターニングポイント
平成29年度施政方針及び提出議案に対する個人質疑を3/1に行いました。いま、予算特別委員会で審議されています。3/23が議会最終日で採決があり、可決されれば、29年度予算は執行される。
1 「平成29年度予算」と今後の見通しについて
昨年末に出された29年度予算編成方針では、「聖域を設けることなくすべての施策・事業において休廃止を含めた見直しを断行していく。」という文言があったので、大型公共施設工事、たとえば道の駅や市立病院別棟建設、(仮称)茅ヶ崎市歴史文化交流館、地域医療センターなどの新たな公共施設建設の休廃止を検討されて予算が出されるものかと思っていたが、休廃止はない予算となっており、このままでは今後の財政運営は、将来的には破たんへ進む可能性が大きくなる。建物は建て始めると中止できず、光熱費や人件費、修繕費などのランニングコストが永久的にかかる。
人口も経済も右肩上がりの時代は新たな公共施設を建設することができた。しかし、今は将来の人口に見合うよう公共施設をコンパクト化し将来にわたる維持管理費を抑える政策を日本中の各自治体が行っている、そんな時代に逆行しているのが残念ながら我が茅ヶ崎市。
歳入はあまり増えず歳出は増大中に大型建築建設は大丈夫?!!
平成18年度と27年度の決算を比較すると歳出である民生費は9年間に約131億円も増加している一方、市政運営の根幹をなす市民税収入は9年間に約2億円の増加。9年間に約131億円も増加した民生費は高齢化や新薬開発などでの医療費の増などの影響を受けて今後も当分の間増加することは確実。
底を尽きつつある財政調整基金
自治体の貯金である財政調整基金は27年度末では約43億円。28年度予算では約13億円の取り崩しとなりますので28年度末の残高は約30億円。29年度の取り崩し予算額は12億円ですので、29年度末の残高は約18億円となり、昨年12月議会で服部市長がいざという時のために市民1人当たり1万円、合計で24億円は最低減確保したいという額を29年度末には早速下回る予定。また、29年度予算は財政調整基金のとり崩しだけでは足りず、市有地の売却費約6億3千万円を含めてやっと予算編成ができた状況。これでは堅実な財政運営とは言えません。
財政破たんは無縁ではない
「茅ヶ崎市は財政破たんした夕張市みたいにはならない。」と楽観している方も多いかと思いますが、夕張市が破たんした原因は公共施設を建てすぎたことが一因となり財政調整基金が底をつき、市債発行も限度額いっぱいまで発行して市債発行ができなくなり、歳入不足を補うために利息の高い一時借入金を借りて雪だるま式に借金が増えて一気に財政破たんへの道へ転がっていった。
茅ヶ崎市も無縁の話ではなく、現状のように市税収入の大幅な伸びが期待できない中、民生費が毎年増加し、すでに進んでいる大型公共施設工事に加え、さらに新たな大型公共施設建設計画を進めることは、財政破たんへの後戻りのできない道へ踏み出すことである。
29年度予算には新たな大型公共工事予算がある
新たな公共施設建設の予算が29年度予算書にはいくつか出ているが、さらに、まだ明確には大型公共施設建設工事事業として見えてきていないものも進んでいる。市長は全問者への答弁で早い時期にその方向性を検討するとお答えになりましたが、その事業では4階建て5棟の住宅も含まれる1万6千平米ある雇用促進住宅茅ヶ崎宿舎を財団から建物ごと用地買収して、建物管理と敷地内に図書館・公民館、コミュニティ食堂、在宅医療・在宅ケア関連施設を民間とともに建設する計画です。29年度業務計画案では、方向性に変わりはなく香川公民館の移設について等の地域との調整や用地買収の交渉などが進められていく予定です。
小中学校の建て替えは必要・優先すべき
一方、災害時の避難所にもなっている小中学校ですが、法定耐用年数を迎え建て替えなくてはならない状況になっている。そのため今年度は予算ゼロで(仮称)教育施設等再整備基本計画が策定される。計画策定は予算ゼロでできても小中学校の再整備には多額の費用がかかるが、この小中学校施設の再整備は優先して実施されなくてはならない。29年度から新しく始まる大型公共施設建設の見直しがないままでは、計画はできても、教育施設の再整備ははたして実施できるのか疑問。
※災害時の避難場所にもなっているので、トイレの洋便器化は早急にしなくてはならない。現在茅ヶ崎市は60%弱しか出来ていない。
※近隣市では学校の普通教室にクーラーを設置している自治体が多く茅ヶ崎市では設置していない事について➡今後、教育委員会で検討するとの事。以前、2010年、小中学校の全教室へ扇風機を設置する議案に対してクーラーをつけるべきと討論した。今回の答弁ではクーラー設置には約30億円以上初期投資でかかるとのことだった。
万一、財政破たんをすれば
市民にとっては高い負担で最低のサービスしか受けられなくなります。人口の流出が止まらず企業も撤退、商店もどんどんなくなりさらに人口流出が続いてさらに財政が悪化する悪循環で財政の健全化は非常に厳しい状況になるようです。
<財政運営について、現状と長期見通しについての回答>
服部市長より(要旨)・・・・各財政基準を満たしており、心配ない。財政調整基金については取り崩し予定だが、出来るだけ取り崩さない財政運営を行っていく。
2 福祉の観点からも中学校完全給食は優先して実施すべき
29年度は今宿小学校給食調理場の開設に向けた整備を着実に進めていくとのことだが、これで全小学校給食調理場の整備が終了すれば、今度は中学校完全給食整備へ向かっていただきたい。市長のお考えと優先順位について伺う。私は、子育てしやすいまちづくりのためにも中学校完全給食の実現は欠かせないと思っている。子どもが安心して成長できることは社会の安定につながり、高齢者が安心して住みつづられることにつながる。子どもの貧困が社会問題化していることから、すでに小中学校給食の無償化を実現している自治体もある。子どもから高齢者まで安心して住み続けられる街づくりのためには、中学校完全給食の実現が不可欠であると思い、継続して訴えてきたが、茅ヶ崎市においては➊県の保健所を茅ヶ崎市で実施することよりも優先順位が低い。➋道の駅を作る事よりも優先順位が低い➌市立病院の別棟建設よりも優先順位が低い➍文化資料館の移転事業、茅ヶ崎市歴史文化交流館整備事業よりも優先順位が低い❺中核市への移行よりも優先順位が低い❻高齢者の生きがい等、プラットホーム事業よりも優先順位が低い❼休日急患センターを廃止し新たに地域医療センターを建設する事業よりも優先順位が低い状況。
中学校完全給食は子どもの福祉の増進になる
子ども、児童生徒の健やかな成長は保障されなくてはならない。成長期の子どもの栄養不足はその後の健康に多大な影響を与える。不可逆的であり、大人になってから子どもに戻って栄養をとってくることはできない。子どもの食格差の深刻な実態が社会問題となっている。子どもの貧困による栄養不足が成人してからの心臓病やうつ病、要介護のリスクの高まりにつながることも最新の疫学研究でわかってきている。
一人当たり年間約6万円前後の就学援助費は給食を実施していない自治体ではもらえない 茅ヶ崎では牛乳代の補助のみ
特に中学校完全給食を実施していれば就学援助費として一人当たり合わせて年間約6万円前後が加算されるのに中学校完全給食を実施していないのでその分が加算されていない状況は予算書にもはっきり表れている。小学校と中学校では生徒数が異なりますが、小学校では要保護及び準要保護児童就学援助費の中に学校給食費として約1 億1千万円が含まれているが、中学校ではミルク給食のみであるために牛乳代の補助として学校給食費としては約400万円の予算しか含まれてない。中学校完全給食を実施していれば要保護及び準要保護児童就学援助費のなかで学校給食費として一人当たり合わせて年間約6万円前後が支給されるが、茅ヶ崎市では家庭から持参する弁当へ頼り、これらの支援がないことは福祉の観点からも重大な問題だと思う。その点についての市長の見解も伺う。
<中学校完全給食に対する市長回答>
就学援助費についてはその通りだが、他に優先すべき事業があるので中学校完全給食はできない。
3 若者向け・子育てしやすい施策を増やすべき
市長の施政方針では「いきいきと暮らす ふれあいのある 地域づくり」と「安全で安らぎのある 持続可能な 暮らしづくり」と「人が行きかい 自然と共生する便利で快適なまちづくり」の3テーマに分けてそれぞれの事業があげられているが、どのテーマにも共通する課題は、若い世代が住みやすいまち、15歳~64歳である生産年齢人口の方々が定住するまちであるということ。そうでなくては市長が施政方針であげられている3つのテーマの街づくり、人づくり、地域づくり、暮らしづくりは実現できない。
施政方針では「茅ヶ崎市まち・ひと・しごと創生総合戦略」について触れられているが、具体的な事業内容では高齢者に向けた事業が多く、子どもや子育て世代向けの事業が少ない。持続可能な地域・暮らし・まちづくりのためには若い世代が住みやすいまち、住みたい街である事を後押しするような事業をもっと増やすべきであると思うがいかがか。