日本弁護士連合会主催・公益財団法人日弁連法務研究財団共催セミナー 研修報告
日時 2017年4月18日(火)13時~17時 場所 便籠氏会館クレオA
指定管理者制度を導入した図書館にはひずみが凝縮している?!
指定管理者制度は間違って使用すると良くない方向へ行ってしまう。図書館を例にとって講演があった。
図書館とは何か?
図書館とは知的技術支援の場・・・様々な人が利用しているが、その個々人を知的に支援する場である。知のナビゲーター(司書)がいてナビゲートしてくれる場である。➡知の拠点である。そうであれば長期視点が必要で、指定管理者では難しい。指定管理者を導入した図書館に於いて、郷土の資料がないがしろにされた事態が起こった。郷土の歴史、文化を大切にする図書館であってほしい。
一方、図書館を賑わい空間にしようとする視点がある。➡財政論で考えると、賑わい空間を作るために大金(税金) を投入して良いのか?疑問である。
様々な図書館と一般行政との連携はできる!!
図書館には県立図書館、市立図書館の他にも学校図書館、大学図書館、専門図書館(例えば市政専門図書館)がある。指定管理者での運営ではネットワーク形成は難しい。
地域の書店は大切・・・書店はまちの文化のバロメーター
何とか書店には頑張ってもらいたい。(私もそう思う)書店との連携は大切。書店は地域にとって読書環境形成に大切な存在である。図書館を直営でやっていれば。地域の書店から本を購入することができる。
地域の書店から図書館への蔵書について提案をしてもらい、図書館司書と会議をして書店から本を購入する。書店、図書館、双方にとって貴重な会議である。
図書館では様々なことができる
- 歯についての本を読んで、歯磨き指導をする。
- 放課後児童クラブを図書館でやる。
- 認知症の支援
図書館ではそれについての本、それについての専門家、市の担当など様々な組み合わせで様々なことができる。もっとアイデアを出して活用すべき。直営であれば様々なことができる。
指定管理者制度の運用における問題点~全国の事例から
公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果によると指定管理者の取り消しは全国で出ている。施設の統廃合が最も多いが、直営へした事例は約4割近くある。理由としては、
- 「費用対効果・サービス水準の検証の結果」
- 「子ども子育てサービス拡充のため」等が多い。
一方。指定管理者側からの意見は、
- 一般管理費を含むフルコスト計算を
- 一定額の利益、繰越金(あるいは積立金)を認め、「精算」項目は廃止すること
- 指定管理者制度の主旨に相応しい科目の創設を(委託料ではなく)
- 収益をあげても次回更新時には指定管理料を減らされる心配がある。
- 自治体職員の意識が薄れている。(ソースアウトした)仕事の中身が把握できていない。外から数字だけ見ていてわからない。一番の問題は、行政側に公共施設をどう使いたいかビジョンがない事。自治体自身が施設の設置使命を明確にすることが大切。
保障行政とは何か
- 遂行責任 これまで行政は自身の手で事務事業を遂行してきた。
- 保障責任 行政の自身の手で遂行しない代わりに指定管理者制度によって民間事業者の遂 行責任を保障しなくてはならない➡民間事業者が遂行責任を果たしているのか、指示・監視を及ぼさなくてはならない。自身の手で遂行するよりも難しいことがありうる。
指定管理者と行政との対話の機会は必要
静岡県では実施している。事業者と行政では会計決算など違いが多く、対話で溝を埋めていくことは必要不可欠。とくに事故が起こらないように安全管理の専門家が施設の状況を実地確認したり、施設の設置者として確認しなくてはならない。また、労働関係法令遵守への取りくみ状況の確認についても同様である。
研修を受けて
指定管理者制度が始まって10年以上たった。ここで立ち止まり茅ヶ崎市においても検証すべきだと思う。指定管理者制度へ移行した事によって、市民の声は反映されなくなっていないか?より効果的な運営ができているか?費用対効果はどうか?検証すべきであると思う。また、指定管理者制度基本条例案についての説明もあったが、茅ヶ崎市では指定管理者制度導入に関する基本的考え方を示しており、これと照らし合わせると今回の条例案では抜けているものも見受けられた。指定管理者制度を適用している施設について、今のままで良いのか、それとも直営に戻すべきか、検討する必要があると思う。他市の事例も参考になった。さらに調べたいと思う。