茅ヶ崎市立病院職員の医薬品窃盗事件について その2

業務改善、再発防止のための政策提言をすることを目的に茅ヶ崎市立病院の聞き取り調査へ 第2回目

聞き取り調査のまとめ

実施日   2017/8/14(月曜日) 午前10時~約40分

仙賀病院長、添田副院長(兼事務局長)、内藤病院総務課長、が出席

聞き取り者 松島幹子

前回の聞き取り調査をアップした後、様々なご意見をいただきありがとうございました。今回、いただいた情報やご意見をふまえ2回目の聞き取りを行いました。メモをもとに要旨を載せます。

松島  今回の事件を病院長としてどのように受け止めているか?

仙賀病院長  茅ヶ崎市立病院の中から犯罪者が出たことに関して非常に責任を感じている。薬局は院内で独立してやってきたが、今後は他の部署からも意見が言えるように他の部署の目が通ることで改善したい。公立病院の正規の職員が罪を犯したことについて管理責任を感じている。

病院の職員は善人であるという前提であるのに犯罪者が出た、そういう職員が居たことに関して責任を感じている。採用の時にわからなかった等、早く見抜けなかったことには責任を感じている。敢えて言明はできないけれど、本人の能力の問題、性格、患者さんとコミュニケーションが上手ではなかった。

松島 茅ヶ崎市立病院は地方公営企業法の一部適用なので、医療法上の病院管理者は院長だが、最終的な病院事業管理者は服部市長である。独立行政法人であれば病院内に権限があるが、現在の市立病院は権限が市長から病院長へ任されていない部分が多い。そのために病院事務局長と言えば本来であれば病院事務に精通した方がなるべきポストであるが、現在の運営形態では市長人事で全く違う市役所の部署から病院経営に精通していない人が事務局長へ就任している。現在の添田副院長兼事務局長も市役所の企画部から新しく就任したばかりである。このような状況では院長として仕事がやりにくいのではないかと思うがいかがか。

仙賀病院長  現在の形態ではなにをやるにも時間がかかりすぎる。また、松島さんも以前委員だったことがあるのでお分かりだと思うが病院運営協議会をはじめ形骸化していることがたくさんある。病院の形態を変えることも1つの方法であるかもしれない。院長になって11年になる。この間、一番力を入れてきたことは良いドクターを集めることであり、その結果、新しい診療科のいくつかを新設することができた。しかし、看護師の出入りが激しいことは大きな課題であり、新しく10名入れば10人出て行かれるような状況である。利便性が良いことは看護師が居続けてくれる大きな要素の1つであるが、茅ヶ崎市立病院は近くにコンビニ等がなく、ちょっと買い物に行きたいと思っても買いに行けるところがない。不便なのでコンビニを病院敷地内に作ろうと計画してから計画実施するまでに既に4年もかかっている。(まだできていない)

松島  市立病院の職員が女性に付きまといをして逮捕される事件も記憶に新しい事であるが、組織として内部統制が効いていないことは明白で市長が病院管理者として病院をきちんと管理できないのであれば現在の形態ではなくて独立行政法人化など他の運営形態も考えなくてはならないかと思うがいかがか。

仙賀病院長  薬局に関しては外からでも薬の流れが見えるシステムに既に変更するように取り組んでいる。すべての職員に目が届かないことは事実である。今回の件では、そんな人を病院に在職させたことはショックだった。各部門のトップが自分の部門の職員に目を届かせることが大切であると思う。何か様子がおかしい職員がいたらきちんと話を聞く、相談にのることを徹底させていく。

松島  今回、被告とされる薬剤師は「市立病院では仕事のやる気が出なかった。モチベーションが上がらなかった。だから3億円ためてゲーム会社をやりたいと思って事件を起こした。」と話していると聞いた。茅ヶ崎市立病院は地方公営企業法の一部適用での運営であり、一般公務員と同様の給与体系であるため、病院の経営状況や業績が給与に反映されないこともモチベーションが上がらない要因の一つではないかと感じたがいかがか。

仙賀病院長  能力がすぐに反映される給料ではなく年功序列でしなくてはならない。病院運営にスピード感は出せない課題がある。

松島  病院は医療事故などのために保険に入っている。今回の損失額約1億400万円に対しても保険が適応されるのか。

内藤総務課長  たとえ適応されるとしても保険を使うことは考えていない。被告に返してもらいたいと思っている。今回の件で市立病院の信用を貶められた。失った信用の分の補償も求めたいと思っている。

松島  今回の約1億400万円は直近1年間分とされている。それ以前についても紛失した薬があるのではないかと疑問があるかいかがか。

内藤総務課長  調べ始めている。

松島  市立病院として約1億400万円、市民の方々に損失を出したことについてはいかがか。

仙賀病院長  大変申し訳ない。組織の問題を洗い出して変えることをすでに始めている。乳腺外科が新たにできて、抗がん剤の使用量が増えたのだろうという思い込みが薬局の中にあったのではないかと思っている。

松島  先日の聞き取りで総務課長からその事を聞いて、知り合いの薬剤師に話したところ、それは理由にならない、プロの仕事ではないと言われた。なぜならば、盗難にあった薬は乳腺外科で使う抗がん剤ではなく大腸がんなど他の診療科で使う薬だから乳腺外科新設に関連していないとすぐにわかるはずだからだと聞いた。

仙賀病院長  その通りです。おっしゃる通りです。

松島  20年くらい前、茅ヶ崎市立病院でN医師による贈収賄事件があった。当時N医師は診察室内で机の下の紙袋から患者に薬を直接売って現金を得ていたと聞いた。今回の事件を聞いて当時の事を思い出した。

仙賀病院長  あの当時は泌尿器科の医師であるだけだったので詳しいことはわからないが、薬局は20年くらい前のあの当時から薬の管理はあまり変わらないと思う。当時、もっとメスを入れるべきだった。

松島  今回、薬品メーカーの方からの情報提供もありました。薬にはロットナンバーがあり、厳格に管理されていて期限切れなどの理由でメーカーが自主回収もしているそうです。今回は盗難にあった薬が現金問屋に流れて厳格な管理のない中で誰かに使われていることは大きな社会問題だというご指摘でした。このことに対してはいかがか。

仙賀病院長  このような社会的な問題の一端に茅ヶ崎市立病院が関わっていることに対しては本当に申し訳ないと思っている。警察では今後はこのことについても捜査されていくだろうと思っている。

松島  お忙しい中、お時間をとっていただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

コメントを残す